薄毛で悩んでいる人の中には、会社などで痛烈なからかいを受けている場合があります。からかわれることによって、ますます薄毛を気にしてしまうという悪循環に陥り、精神的にも追い込まれてしまうのです。そのからかいの構造を考察してみましょう。
ハゲが恥ずかしい本当の理由
薄毛で悩んでいる人は、人の集まるような場所に行くのが億劫だと言います。格好悪い、笑われる、恥ずかしいというのがその主な理由で、特に女性がいるような場所に行くのが億劫なのだとか。
しかしよく考察すると、実際に女性にからかわれたという事例は少なく、実は男性同士のからかいややりとりの中で生まれているようなのです。
男性によるからかい
ある薄毛の人が、毎朝念入りに髪をセットしていくにも関わらず、会社に着くなり同僚たちに頭をかきまわされ、仕事の最中にも後ろから毛を抜くなどのイタズラをされると言います。
そして飲み会に行っても女性社員たちの前で頭の話題が出され、「あいつはハゲるから付き合わない方がいい」とまで言うそうです。
このように、薄毛で悩んでいる男性を、男性たちがからかいの的にして笑っているのですね。ここで問題なのが、からかう側の男性たちが巧みに「女性の目」を使っていること。
ここが女性にからかわれていないのに、女性の目を気にしてしまう構造なのかもしれません。
男性が男性の薄毛をからかうのはなぜか
例えばミス・コンテストでは、女性同士が美しさを競いますが、この評価基準は「男性の目」が媒介しています。この場合の「男性の目」は確かに存在するもので、男性から好まれるかどうかという点において優劣を決めています。
しかし一方で、ハゲをからかう男性たちは、ありもしない「女性の目」をからかいに使っていると言えます。男性同士の優劣は、ハゲている人を差異化し、性的な魅力における評価を下げるために「架空の女性の目」を使っていると考えられます。
このように考えると、実際に女性にからかわれたことがないのに、「女性の目が気になる」という薄毛の人の悩みは理解できますね。
※ハゲを生きる P142-145