須長史生氏著『ハゲを生きる』の中で、インタビューに答えているSさん。20代から薄毛に悩み、人知れずバツの悪い思いをしてきたSさんが、一念発起して「光頭会」を作りました。その理由や、目的は何だったのでしょう?
光頭会結成のきっかけは?
ずっと薄毛で苦しんできたSさんは、ハゲが社会を笑わせたり、明るくしたりできないか、同時に自分も今までの苦しみを喜びに変えることができないかと考えたのが光頭会結成のきっかけだそうです。
しかし考えついたものの10年以上実行に移すことができませんでした。というのも、1人では行動を起こしにくかったから。
ところが詩吟で友達になった人と「それは面白い、やろう」ということになり、発起人として会を起こし、現在も事務局世話人をしているようです。
光頭会って何をしてるの?
光頭会では、番付を作ったり、文集を編集・発行したり、アルバムを作ったりと、さまざまな活動を行っています。
光頭会の目的は、ハゲという一見外見的劣等生を逆手にとり、明るく楽しい会を運営すること。それが会員の中の劣等感を優越感に変えていこうとする趣旨でもあります。
一時期は薄毛を気にして会合にもあまり出なかったSさんですが、明るい性格になれたのも、このコンプレックスを笑いに変えるという行為があったからかもしれませんね。
家や町の呪縛からの解放
Sさんは農家の長男です。家を継ぐという責任や、町という単位での批判的な目もありました。
光頭会を作ることによって、それまでの誰が見てもうまくない「ハゲ」という劣等感を優越感に変えることに成功したと言えるでしょう。特にSさんの町では「笑顔の町」を標榜しており、劣等感を笑いに変えた光頭会の存在は、一躍有名に。自らの薄毛を公表し、明るく笑いに変えたことで、光頭会は指示を得たし会員の劣等感を優越感に変えられたのかもしれません。
薄毛を物理的に克服するのではなく、笑いという要素を入れることでコンプレックスを優越感に変換することができたのですね。今までの性格を明るく変えるほどの効果があるとは驚きです。
※ハゲを生きる P44-45