薄毛をからかう場合「頭の毛が薄い」という身体的特徴を指摘します。通常、身体的特徴を揶揄するのはタブー視されるところですが、薄毛はどうしてすぐに毛が薄いことに言及されてしまうのでしょうか。
ハゲに言及されるのは何故か?
一般的に、人の身体的特徴をあげつらい、指摘したりからかったりするのはタブーとされています。それなのに、薄毛に関しては「頭の毛の薄さ」を指摘し、時にはからかったりします。
これは他者のテリトリーに踏み込むもので、通常であれば慎まれるべきものです。ところが、ハゲに関してこれを言及するのには、指摘する側に「遊び」の要素と「親密さ」が含まれていると考えられるのです。
だから頭がスダレになる?
とはいえ、ハゲを指摘されたり、からかわれたりした側はたまったものではありません。相手が遊びや親密さから言っていることも理解できる故に、怒ったり否定したりすることも躊躇われます。
そこで薄毛の人は、頭の状態を言及されるわずらわしさから逃れるために、頭をスダレにしたり、カツラをかぶったりといった、ハゲを隠すようになるのかもしれません。
テリトリー侵犯が許し合える仲?
ハゲをからかう側とからかわれる側。両者には、一般的にはタブー視されている「身体的特徴に言及する」というテリトリーの侵犯が行われています。
なぜか、薄毛に関する話題になると「その服、似合うね」や「髪切ったの?」と同じような度合いで親密さの表れとなっていると言うのです。
からかっている側は親密さを表現しているとすれば、例え深く傷ついていたとしても、笑って受け流すしかない状況になります。
「自分たちは、こんなことでも言い合って笑い合える仲なのだ」という親密さの意図が込められており、このことが薄毛を気にしている人が抗議できない図式なのかもしれません。
例え悪気がなかったとしても、薄毛の人は内心とても傷ついています。堂々として薄毛をネタにしている程の人でも、周囲の理解は必要だと考えます。
※「ハゲを生きる」 P168-169