須長史生著『ハゲを生きる』の中で、たくさんのインタビューがあります。そこから浮かび上がる「堂々とする価値観」について考察してみましょう。
インタビュー中の“堂々とする”態度とは?
それでは、実際のインタビューから“堂々とする”態度が見える部分を紹介します。
そういう人(ハゲを気にする人)に対しては、むしろそんなにうじうじするくらいなら(カツラを)利用したらどうか、と勧めちゃうかもしれません……
・ハゲでも堂々としていればいい。……堂々としている方が私は立派だと思いますよ。
・男性が思っているほど、毛が薄いのって気にならないもの。そんなことに気を使うくらいなら、人間性とか他の部分に磨きをかけて欲しいですね。
・もっと堂々としてください。私はその人の毛が薄いかどうかをあまり気にすることはないし、ましてハゲているという事実だけで人を判断することもありません……
・わたしは、隠したり気にしたりしている方がイヤ。「ありのままのオレ様を見てくれ」っていう人のほうがまだ……。堂々としているもんね。
・高いお金を払ってカツラを使うっていうことは、髪が薄いことやハゲていることをそれだけ気に病んでいるっていうことでしょ?そうやって生きてきたっていうこと自体がイヤ。ウジウジしてて。
・……だいたいな、自分の肉体のことで堂々としていないヤツってのは貧相に見えるわな。背が小さかろうが、ハゲようが、悪いことじゃないんだから堂々としていればいいんだよ。卑屈になるのが1番いかん。ハゲはハゲでいいんだよ……
“堂々とする”には、精神的なタフさが要求されている?
男性が自分の外見にうじうじ悩むのを良しとしない風潮があるのが、インタビューからわかりますね。
それでも、気に病むな、気にするな、小細工をするな、堂々としろと言われて、悩まないで済むのなら薄毛産業もここまで発展していないでしょう。
そこには外見で表現される男らしさと、実現したい男らしさに矛盾があるからかもしれませんね。
※ハゲを生きる P171-174