毛髪のエネルギー源「毛母」は、どこから生み出されるの?ーその1

1x1.trans 毛髪のエネルギー源「毛母」は、どこから生み出されるの?ーその1

毛髪が育つために必要なエネルギーを毛幹や内毛根鞘に供給している毛母ですが、ではその毛母は、どうやって作られているのでしょうか?そのメカニズムを探ってみましょう。

組織を作る細胞は、すべて幹細胞のコピー

幹細胞とは、生物の一生を通じて再生を続ける組織において、細胞にエネルギーを与えるおおもとの細胞のことです。人間の組織でいうと、表皮などがそれに当たります。

幹細胞は、幹細胞を生むことによってある程度数を増やします。そして細胞分裂によって組織を作っていきます。この細胞分裂によって、2つの娘細胞ができ、1つは幹細胞と全く同じコピーに、もう1つは一定回数まで増殖する過渡的増殖性細胞として働き、分化してその組織の細胞へと変化していきます。

つまり、組織を作っている細胞は、すべて幹細胞のコピーなのですね!

細胞分裂のリスク

細胞は、コピーによって分裂を繰り返しますが、病変の元になったりする突然変異は、このコピーの段階で起こります。コピーする際、エラーが起こることで突然変異が発生してしますのですね。
そこで、根幹である幹細胞の突然変異がなるべく起きないように、その可能性が発生する細胞分裂の機会を減らそうとします。だから幹細胞は滅多に細胞分裂しないと言われています。
また、すべての組織のおおもとである訳ですから、傷ついたり死滅したりしないよう、栄養条件がよく安全な場所に存在しているのです。

細胞分裂の回数にカウンターがある?

幹細胞は無限に細胞分裂をする能力を持っています。それに対して、幹細胞が分裂してできた過渡的増殖性細胞や分化細胞は、分裂の回数に限界があります。

それは、細胞に分裂回数を数えるカウンターが付いているから。

この事実を毛包細胞に置き換えると、毛母細胞は過渡的増殖性細胞の一種ということになります。つまり、分裂に限りがあるのですね。では、毛母細胞のおおもとである幹細胞はどこにあるのでしょうか?
2つの実験が行われました。(その2へつづく)

わたしたちの身体をつくっている細胞には、母となるものと、そのコピーがあるのですね!幹細胞がどこにあるのか?は次回へ続きます。

参考文献 毛髪を科学する 松崎 貴著

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