「毛包」というより「毛根」というと、みなさんにおなじみかもしれません。
これまで皮膚の説明をしてきたのは、髪の毛が皮膚から作られるということを知っていただくためです。それでは、いよいよ毛髪ができる「毛包」のしくみを見ていきしょう。
毛包とは?
毛の大部分は身体の外に出ていますが、その大元である毛を作り出す組織は皮膚の中に埋まっています。この皮膚に埋まっている毛の根元の部分を「毛包」と呼びます。
毛根というと、毛母細胞やその周囲の組織のことを指しますが、これらの毛根組織を含み、毛を生み出す組織全体のことを「毛包」というのですね。
毛髪はすべて、ここから生み出され、伸びていくのです。
複雑な毛包の構造
毛包はかなり複雑な構造をしています。わかりやすく例えると、皮のついたタケノコを想像していただくといいでしょう。
タケノコの中心、芯の部分が毛の本体となり、「毛幹」といいます。角化して硬く死んだ細胞が集まった組織です。
タケノコの皮にあたる毛根鞘と呼ばれる組織は、毛幹を包み込むように存在します。
これら毛幹細胞や毛根鞘細胞は、皮膚の表皮細胞が変化してできたものと考えられ、皮膚と同様に毛包でも毛根鞘の一番外側に位置する細胞だけが細胞分裂して増殖しています。
毛を生み出す泉「毛母細胞」
毛母細胞は、毛包の内側にあり、ここが細胞分裂して作られた娘細胞が皮膚の表面に向かって押し上げられながら角化し、最終的に毛管と毛根鞘となるのです。
皮膚のターンオーバーのサイクルに似ていますね!
ここでもケラチンが活躍していますが、皮膚のケラチンと毛髪のケラチンはタイプが違うのです。
毛包は毛を生み出しますが、ある研究で毛包を取り出して他の場所に移植したところ、そこから毛が伸び始めたことでそれが証明されました。
ネズミの実験では、なんと腎臓に移植した毛包からも毛が生えたと言います。
厳密には毛包に栄養や酸素を与える血管とつながらなけばなりませんが、基本的には毛包があれば毛は作られるということになります。
毛包とは皮膚から変化して、毛を生み出しているのですね。そのメカニズムは皮膚の新陳代謝とよく似ています。まだまだ解明されない部分も多いですが、大変興味深いですね!
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