男性型脱毛症に、男性ホルモンが関係していることはよく言われていることですが、まだまだ謎が多くすべてが解明している訳ではありません。それでも研究が進むにつれ、いろんなことがわかってきています。今回は男性ホルモンがどのように作用するのか、リセプターについて紹介しましょう。
男性ホルモンがそのまま作用する訳ではない
男性ホルモンは男女ともに存在しますが、当然ながら男性に多く分泌されています。去勢された中国の宦官に男性型脱毛症がほとんどいないことから、男性ホルモンと脱毛症との関係が注目されました。
男性ホルモンは、特に第二次性徴期に体毛を濃くする作用があります。
しかしながら、30代後半以降の男性の主に前頭部から頭頂部にかけての毛は薄くしてしまうのです。
これが何故なのか、長年の謎でした。
受容体・男性ホルモンリセプターとは?
同じ男性の頭部でも、薄毛になる部分とそうでない部分があるのは何故でしょう?
それは、男性ホルモンがどのように作用するかにかかっています。
つまり、男性ホルモンと結合する受容体(リセプター)が、どこに存在するかということです。
例えば、男性ホルモンリセプターが欠失している男性は、ワキ毛や陰毛といった男性ホルモンが作用する毛髪も発達しないのだそう。
男性ホルモンの受容体がなければ、男性ホルモンはあっても正しく作用しないということなのですね。
男性ホルモンの濃度は関係ない?
思春期には男女ともに男性ホルモンが増加します。するとワキ毛や陰毛が発達します。しかし、女性にはヒゲやすね毛、胸毛などは発達しませんよね。
このことから、ヒゲや胸毛の発達にはより高濃度の男性ホルモンが必要であると考えられます。しかも、男性ホルモンをより強いものに変化させる5αリラクダーゼという酵素があるかどうかも大きなポイントです。
男性ホルモンの濃度は、男性型脱毛症の人とそうでない人で違いはないそうです。
つまり、男性ホルモンの量ではなく、男性ホルモンに対する感受性、そして男性ホルモンによる遺伝子プログラムによって、男性型脱毛症を発症するか否かが変わると考えられています。
謎の多い男性型脱毛症ですが、切っても切れない男性ホルモン、リセプター、5αリラクダーゼといった相互の作用で起きていることがわかってきたようです。
解明されれば、薄毛治療にも大いに役に立ちそうですね!これからの研究に期待しましょう!
※毛髪を科学する P80-84