「ハゲ」をどのような定義で使っていますか?日頃なんとなく表現している「ハゲ」という言葉に、傷つく人がいることは容易に想像ができても、その言葉自体を深く掘り下げて考えてみたことはないのではないでしょうか?今回は、ハゲの定義について考察してみます。
広辞苑(第四刷)の考察
広辞苑(第四刷)によると、「はげ(禿)」とは
?毛髪がぬけ落ちた状態。また、その部分。
?禿頭。また、その人。……
となっています。
また「はげあたま(禿頭)」で広辞苑を引くと、「毛髪のぬけ落ちた頭。とくとう」となっており、「はげる(禿げる)」という動詞で引くとやはり「頭髪がぬけ落ちる」となっています。
頭髪が抜けるのは確かにハゲを構成する1つの要素ではありますが、どのくらいの量抜けるとハゲなのか説明はないし、また生えてくる場合の抜け毛との区別もされていません。
薄毛を考える立場としては、少々不親切な説明ですね。
新明解国語事典の考察
辞書の中でも斬新でユニークな語釈が特徴的で、日本で一番売れているとされる新明解国語事典。こちらで「はげ」を引いてみると、「禿げた・状態(人)」としています。
さらに「はげる」は「生えていた髪の毛……が少なくなって、地肌が見えるようになる」となっており、広辞苑よりは髪の量がどのくらいになったら禿げたというのか、明確になっています。
ただしここでも「髪が少ない」のがどの程度かは明記されていないし、頭髪の密度や生え際の後退についても「少ない」としているだけで、程度がはっきりしていません。
ハゲの定義は困難
このように辞書を紐解いてみても、ハゲについてはかなり曖昧な表現と言わざるを得ません。例えば「生えていた髪が少なくなって」というのは、脱毛前の人物を知っている人しか「ハゲた」と確認できないことになってしまいます。
しかし日常わたしたちは、彼がかつてどのような髪の状態であったとしても「ハゲている」と認識しています。明らかに頭髪のまったくない状態だけでなく、髪が少ない、頭皮が透けているというだけでなく、元々髪が細く少ない人などにも向けられる言葉です。
このように、ハゲの定義は非常に難しく、まだまだ考察が必要なようですね。
薄毛に悩む人は、自分よりも周囲の目やからかいの言葉を気にしていることがほとんどです。冗談で言い合える間柄であっても、本人は意外と気にしているかもしれませんね。
※ハゲを生きる P104-105