ガン治療には、放射線や抗ガン剤といった方法があります。どちらも毛髪が抜けてしまうことで知られていますが、これはどのようなメカニズムなのでしょうか?毛髪が抜ける仕組みがわかれば、発毛にも活かせるのではないか?という考察をしてみましょう。
放射線や抗ガン剤で毛髪が抜ける理由
ガン細胞は、猛スピードで細胞分裂をしている状態です。放射線や抗ガン剤はその細胞分裂を止めるために、細胞分裂している細胞だけを殺す作用があるそう。
しかしながら、わたしたちの体内では細胞分裂している細胞がたくさんあります。放射線や抗ガン剤は、ガン細胞だけでなく正常な細胞までを殺してしまうために、毛母細胞も一緒に殺されてしまうのです。
毛母細胞が死んでしまうと、毛母が急速に萎縮して脱毛してしまいます。
また毛髪が生えてくるのはどうして?
放射線や抗ガン剤によって毛母細胞が死んでも、また毛が生えてくるのはなぜでしょう?
毛母に囲まれているパピラ(毛母細胞)や幹細胞は細胞分裂をしていません。ですから、抗ガン剤や弱い放射線照射では死なないのです。
毛母細胞が死んでも、生き残ったパピラ細胞が幹細胞の細胞分裂を活性化し、新しい毛母を形成して再び毛が生えてきます。
ただし、強い放射線を浴びた場合など、幹細胞まで死んでしまうと2度と毛が生えません。以前の永久脱毛は、この原理を使っていたそうです。
細胞死を発毛に活かせる?
放射線や抗ガン剤で毛母細胞が死んでしまうのは、細胞の死が予定プログラムされるためだと考えられます。
このことから、細胞の温度を下げて代謝を下がると、細胞死のプログラムをキャンセルできるのではないかとされています。
実際に、抗ガン剤治療の患者の頭部を冷やすなどして、脱毛を予防する病院もあるそうです。
このメカニズムを元に、脱毛予防や発毛の研究に活かされています。
放射線や抗ガン剤治療をしても、1度脱毛した毛がまた生えてくるのは毛乳頭や幹細胞が生きているからなのですね!今後の研究に期待が持てますね!
※毛髪を科学する P96-97