男性の髪が年齢とともに徐々に薄くなっていく原因は、老化だけではなく「男性型脱毛症」と呼ばれるものです。現在ではかなりその認識も広まってきて、「症」というネーミングからも治療の対象と考えられるようになってきました。男性型脱毛症を引き起こす原因と、それを最初に科学的に証明した人についてご紹介します。
男性型脱毛症の原因
TVのコマーシャルなどでも、最近はよく「AGA治療薬」という言葉を耳にします。この「AGA」というのが「男性型脱毛症」のことです。英語の「Androgenetic alopecial」の略称で日本でもAGAとして広く知られるようになりました。
薄毛は紀元前40年のギリシャで、アリストテレスが宦官には男性型脱毛症が発生しないことを記録しているそうで、このことから男性型脱毛症が男性ホルモンと関係しているのではないかと考えられてきました。
現在では、男性ホルモン自体が作用するというより、男性ホルモンが酵素によってより強いDHTという物質に変化した時、毛の成長を阻害すると考えられています。
男性ホルモンと薄毛の関係を科学的に証明した人物
男性ホルモンと薄毛の関係は、紀元前から考えられてきました。しかし、科学的に実証してみせたのは、1942年アメリカの研究者ハミルトンという人です。
ハミルトンは、以下の観察から、男性型脱毛症に男性ホルモンが深く関わっていると証明してみせたのです。
?思春期以降に発症
?思春期前に睾丸除去すると発症しない
?思春期後に睾丸除去すると進行が止まる
?テストステロンを投与すると再び進行し始める
確かに、このような観察から男性ホルモンが関与していることはわかりますが、同時に、?で脱毛が進行した男性の家系にはAGAの人が多く、男性ホルモンを投与しても脱毛が現れなかった人の家系にはAGAが少ないことにも気が付いたのです。
このことから、AGAには男性ホルモンだけでなく、遺伝的な影響も大きいことを結論づけたのだそうです。
ハミルトンの実証から研究が進み、現在ではAGAのメカニズムがもっと詳しくわかってきています。日本でもミノキシジルローション、フィナステリド内服薬といった治療薬で改善しようと努力している人は多くいます。
※薄毛の科学 P28-29