円形脱毛症は精神的にストレスを受けるとなるものだと思われてきました。患者さん自身がそう思うこともありますが、周囲からも大きなストレスや悩みがあるんだと思われてしまいます。しかし、実際のところ科学的な観点から他の原因もあると言われているようです。
円形脱毛症のきっかけは?
円形脱毛症を発症するのに、ストレスなど精神的なことが関与するのは否定しません。
しかしながら、円形脱毛症のきっかけは他のところにもあると言われています。
きっかけとなるのは、ウイルス感染、疲労、出産、外傷など。
例えば、インフルエンザに罹患した場合でも、円形脱毛症が発症したり悪化したりすることがあるようです。
なぜウイルス感染で円形脱毛症に?
ウイルス感染と円形脱毛症、無関係に思える2つですが、どのような因果関係があるのでしょうか?
ウイルス感染すると、人体はウイルスと戦うために「インターフェロン」というサイトカインを大量に作り、免疫力を活性化させようとします。この時伴うのが発熱。インフルエンザなどで熱が上がるのは、免疫力を高めてウイルスと戦っているのですね。
さて、この自己免疫反応が曲者で、免疫力が活性化されると自分の細胞まで攻撃してしまうと考えられています。
円形脱毛症が起こってしまうのは、毛包の何らかの組織に対して自己免疫反応を起こし、毛組織が障害されて脱毛しているのだというのです。
外傷や出産でも同じことが起こる?
身体のどこかに傷を負った時や、全身麻酔をかけての手術後も円形脱毛症が発症することがあります。傷を治そうとする段階や、一定時間頭部が圧迫されることで脱毛が起こるようです。
女性は出産という身体にとって大きな変化や影響を与える環境を乗り越えた後に、円形脱毛症を発症するケースも少なくありません。
原因がはっきりとわからなくても、円形脱毛症のきっかけはストレスだけではないということですね。円形脱毛症になったからといって、精神的なダメージやストレスをわざわざ探さず、ゆったりと過ごしましょう。
※薄毛の科学 P68