毛包を誘導するパピラ細胞

ヒトにはじめて毛が作られるのは、皮膚に毛芽が形成され真皮集塊が毛芽をさらに伸ばしパピラ細胞に分化されて毛包組織を作り出します。このように、皮膚から毛包を作り出すように導いていることから「毛包誘導」と呼ばれています。

毛包誘導

真皮集塊だけが毛包を誘導させるということではないらしいのです。書籍「毛髪の化学」では

【すでに完成されたすでに完成された成体の毛包からパピラをとりだして皮膚に移植してみると、そこから新たな毛包が形成されます。真皮集塊はパピラ細胞の前駆細胞の集まりですが、パピラ細胞自体も毛包を誘導することができるのです。】

と書かれています。

1x1.trans 毛包を誘導するパピラ細胞

そのことを証明するおもしろい実験結果が載っていました。ネズミの頬ヒゲの毛包を使った実験だそうです。頬ヒゲの毛球部(毛包の基部)を切り取っても、またしばらくすると毛が生えてきたというのです。毛の元となるパピラや毛母は切り取ったのになぜまた毛が生えてくるのか?

そこで、毛包を詳しくしらべてみると、取り去ってなくなったはずのパピラや毛母が再生しているではないですか!
どうして再生したのでしょうか?それは残っていた毛包の真皮毛根鞘細胞が集まって、新たなパピラを形成し、毛包表皮細胞も毛母細胞に変化させたということがわかりました。すごい生命力と言うか。。。。

様々な細胞の相互作用

外毛根鞘を取り囲んでいる結合組織の構成細胞を「真皮毛根鞘細胞」と言い、パピラ細胞と同じく真皮集塊に由来しています。
真皮集塊とその由来する細胞は、毛包を誘導する力があるということがわかったのです。真皮集塊の元である線維芽細胞や他の細胞には毛包を誘導する力はないのだそうです。

毛包を作り出すために様々な細胞の相互作用があっての事なんですね。バランスが大事ですね。
色々な要素をもった細胞が別の細胞に情報を伝えて、さらに別の細胞を生み出し、何工程も重ねた上で1本の毛が作られるんですね。

爪や毛など生えていることが当たり前と思っていて、髪の毛1本、毛穴1つに色々な細胞の変化が起こっているなど全く考えもしていませんでした。

なんか、こんなに頑張って私たちを守っているモノを手荒く扱わないようにしようと思いました。

参考文献 毛髪を科学する 松崎 貴著

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