どうして人間の頭部にだけ毛髪が密集して生えているのか?その謎はまだ解明されていないと言います。生きるのに必要な毛髪であれば、薄毛の人や剃髪している人はなぜ問題ないのでしょうか?髪の存在意義と、男性ホルモンのパラドックスについて見ていきましょう。
髪はなぜ必要なのか?
わたしたちの身体には、足の裏や手のひら、唇などをのぞいてほぼ全身に毛が生えています。その数、約500万本というから驚きですね。そのうち、頭髪は約10万本。人によって6〜14万本と大きな差があるのも特徴です。
この毛髪は、体温を維持し、紫外線など有害な光線を遮り、ケガの防止や治癒の促進などといった役割をしています。頭部の毛髪にしても、異常が起こったことで病気を知らせたり、頭皮を直射日光から守ったりしているのですね。
硬毛と軟毛の違い
さて、わたしたちの全身の500万本の毛のうち、髪やヒゲ、眉やわき毛といった濃い毛と、顔など全身を覆う産毛のような薄い毛があることがわかります。
しかも生えている場所にふさわしい固さや長さを保っているのを、不思議に思いませんか?
この軟毛と硬毛の分けているのが、どうやら男性ホルモンの影響を受けているというのです。
思春期に男性ホルモンの影響で硬毛化する毛があります。大人になると生えるヒゲやワキ毛、すね毛や胸毛も男性は濃くなりますよね。
では、男性ホルモンは毛を濃くする働きがあるのでしょうか?
男性ホルモンのパラドックス
ここがまた不思議なところですが、男性ホルモンがヒゲやすね毛を濃くする一方で、頭髪を軟毛化させる働きがあるというのです。
正確に言えば、男性ホルモンのテストステロンが5α―リダクターゼという酵素によって変化したジヒドロテストステロンが、薄毛へ関与していると考えられています。
どうやら単純に、男性ホルモンは毛を硬化させて毛を濃くしてくれるという訳にはいかないようです。
薄毛を防ぐことと、毛を生やすことはまた別次元のことなのかもしれませんね。
男性ホルモンは毛髪に対して逆の作用をすることがあるようですね。最近の研究によって、さまざまなことがわかってきていますので、諦めずに対策していきましょう。
※毛髪科学最前線 P20-22