人種によって髪の色が違うのはなぜ?メラニン色素のお話し【その2】

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【その1】では、メラニン色素がどう髪色を決定するのか、また、メラニン色素のタイプについてご紹介しました。今回は、メラニン色素とチロシナーゼという酵素についてです。メラニンの謎は、そのまま白髪の謎でもあります。では、そのメカニズムに迫ってみましょう。

白皮症はどうして起こる?

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最近は「アルビノ」として有名なモデルさんもいますが、これはメラニン合成に関わるチロシナーゼという酵素を生まれつき持っていないために起こる先天性白皮症のことです。

チロシナーゼがないと、メラニンを作ることができずに皮膚も毛も白いままなのです。目の赤い白ウサギや白ネズミもそのよい例で、縁起が良いとされている白蛇や白鹿なども「アルビノ」なのです。

これらの動物の目が赤いのは、虹彩に色素がないため、網膜の血液が透けて見えているからなのです。

白髪の原因とは?

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では、元々有色だった髪の色が、加齢などにより途中から白くなってしまうのは何故でしょう?

メカニズムとしては、チロシナーゼが働かなくなったり、色素細胞がなくなったりしまうということですが、白髪を調べてみると、不思議なことに白髪の毛母にはちゃんと色素細胞が見つかるのです。

ただし、細胞は萎縮しており、チロシナーゼ活性も低下しており、数も少ないのだとか。しかし、髪の途中から白くなったり、白髪がまた黒髪になったりすることもあります。
これらのことから、白髪の主な原因は、色素細胞がなくなることではなく、その周囲の環境が変わったために、メラニン合成が抑制されてしまうからだと言えます。

一度脱色すると元には戻らない

髪の色を抜くブリーチ剤(脱色剤)とは、どんな薬剤なのでしょう?

実はメラニン色素を分解する過酸化水素などの薬液が入っています。

毛幹の細胞はすでに死んでいる細胞なので、脱色剤によって色を抜いてしまったら、もうメラニン色素を再生することはできません。毛根から色素を供給することもできなくなります。
ですから、人工的に脱色してしまうと、その毛が生え替わってくるまで元の色に戻すことはできないのですね。

髪の色、メラニン色素のメカニズム、非常に興味深いですね!白髪になるメカニズムまではわかっているので、白髪になりにくい方法も解明される日が近いかもしれません!

人種によって髪の色が違うのはなぜ?メラニン色素のお話し【その1】はこちら

※参考文献 毛髪を科学する 松崎 貴著

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