ニワトリの羽毛研究でわかった、毛の向きのメカニズムとは?

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ニワトリの羽毛の発生は、ほ乳類の毛の発生とよく似ているのだそうです。そこで、羽毛の皮膚が羽毛になっていく過程を研究したところ、何が毛の前後方向を決めているのかが明らかになったのです。

羽毛の研究

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まずは、実験の方法をご紹介しましょう。

①羽毛芽が形成され、真皮集塊ができる
②このとき、表皮をはがして90度、180度回転させ、再び真皮とくっつける
③形成されていた表皮の羽毛芽は、いったんフラットになるがやがてまた羽毛芽が形成される

なんと!一度羽毛芽ができはじめていたのに、はがして回転させて移植したら、また羽毛芽が形成されたというのです。それも驚きですが・・・

回転させた皮膚は、どうなる?

羽毛芽は一度なくなり、また羽毛芽が作られます。そしてこの新しい羽毛芽は、前の羽毛芽とは関係ない位置に形成されるのです。このことから、真皮集塊が羽毛芽の場所を決めていることがわかりました。
さて、この表皮、90度と180度に回転させましたよね?どうなるのでしょうか!

実は、90度回転させたものは、本来の毛の流れの横向きに、180度回…させたものは、反対向きに生えてくるのです!

羽毛の研究からわかったこと

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想像するとかなりシュールですが、この羽毛の研究から、
・羽毛芽の発生する位置は、真皮集塊が決定すること
・毛の方向は、元々表皮に刻まれていること

がわかりました。
このように、位置や分化の方向などが決まっていることを「プレパターン」といいます。
一見同じように見える皮膚でも、遺伝子レベルでこのように深い意味づけや、明らかな違いがあるのですね!

羽毛の研究から、毛の生え方や方向に関する重要なことがわかりました。たとえば皮膚移植などする場合は、気をつけないと、そこだけ変な方向に毛が生える?ということですよね。興味深い研究のご紹介でした。

※参考文献 毛髪を科学する 松崎 貴著

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